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4/17()

昨夜は竜巻も起こらず、熟睡の夜を過ごすことが出来た。今朝はやや天気は不安定で突然のスコールが来たと思ったら、1分後にはやむというのを何度か繰り返した。しかしガッチリした建築で安心して居られる。気温が高いのでしっとりして気分は良い。しかしやがて暑い日差しが出る。もう初夏の空気だ。島の南端の瀬戸内町を目指す。途中開通したばかりの長さ4キロを越すというトンネルを通過する。高速道路のトンネル並みの広さなのにタダ。カーナビの地図上にもまだ記録されていないので、画面上の矢印が道路でないところをどんどんと進んでいく。瀬戸内町はやはり真っ青な海に面した漁村。図書館に付随して置かれている村の博物館に行ってみる。この小さな村も戦時中は海軍基地として沖縄地上戦の最中には、ここからも特攻隊員が出撃したが、特に人間魚雷の基地にもなり、山かげには当時の大きな弾薬庫の入り口があり、中へ入ると声が不気味に反響する。この美しい離島の隅でも戦争の悲劇は過酷な現実だったことを知らされる。

それにしてもこの島はどこを動いても息を飲むような自然の海や海岸がすぐに目の前に現れて、何と風光明媚なんだろう。Everyoneというこの地方のコンビニで、食べたい地方の食糧を仕入れて、海岸でランチ。白い砂、爽やかな風、大きな葉を広げるソテツ、陰でこっそり咲くヒルガオに囲まれて一味違う昼食を味わう。

それにしても山だらけのこの島はやたらにトンネルがある。そしてトンネルを抜けると必ず青い海が目の前に広がる。いつの間にか今日の宿泊場所の近くに来た。やはり海を望む突き出た半島の突端にある。ハイビスカス、ブーゲンビリア、それに白いゆりのようなラッパ花の間を通って玄関へ。部屋の広い窓から下を見ると人のいない白砂の海岸が湾曲し、水が透き通って下のサンゴやノリのついた岩が見える。今でこそ静かで平和だが、夏には若者のダイバーで大混乱になるのだろう。

今日は地元のスーパーで買ってきた地元産の刺身、野菜、果物、飲み物を持ち込んで部屋で食卓を囲む。窓の外の景色もオカズに一味添えてくれる。空もやがて少しずつくらくなっていく。満たされた時間。

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4/18()

270度の眺望、どこを見てもオーシャンビューなのに一方向だけにしかホテルが建っていないのが不思議な感じがするくらいの絶景。まずは西郷隆盛が、一時南洲という号名で隠れて過ごし、島でめとった妻と2児をもうけた小屋に行ってみる。小さな藁屋根の掘っ建て小屋。でも椰子やソテツに囲まれたうつくしい海岸近く。こんなところに目をつけて隠居小屋を建てたのはさすが。見終わって出てきたらいきなり知らない島の人に道を聞かれる。8畳と6畳のアパートが月5万でこの辺りにあるはずだが、と新聞広告の切り抜きを見せられる。旅行者だというと気楽に話しかけてきた。神奈川から移り住んだという。確かに冬も10度以下になることはめったになく、住みやすいので、弟も来たいと言うので、アパート探しを頼まれたらしい。でも離島だから多くの物に輸送費がかかり物価高なのが難点だとのこと。島の様子がよく分かる。

次に「奄美自然の森」へ出かける。山の中の車がやっと1台通れるだけの巾の細い未舗装の道路をおっかなびっくり進む。対向車が来ないことを願いながら、先の見えない細いカーブを何度も通ってやっと到着。文字通り前人未踏の森を少しだけ人を受け入れてくれるようにした場所。「ハブが出るので注意!」の看板を見ながらガジュマルや太い蔦が絡みつく森林を行く。腰掛ける場所を見つけて、座るとかん高い鳥の声が交差する。これが奄美の原風景なのだろう。大きな葉の間に小さな赤い実が見える。それを小さな虫が飛び回って突く。幹の土台部分に大きな穴が開いて朽ちているのに上の方には青々とした葉がついている。植物の生命力も相当なもの。でも太い朽ちた幹が倒れていて若木の栄養になっているところもある。自然の輪廻。

奄美の画家、田中一村の晩年を過ごした家に行ってみる。奄美では中心的な町、名瀬の山側の外れにあった。知らずに通り過ぎそうになる小さな場所。8畳くらいの畳部屋に台所だけという感じの掘っ立て小屋。誰もいない。雨戸の隙間から中を覗く。この小さな小屋から、あの美しい細やかで大胆な絵が生まれた。人が住む現実とその人の想像力、精神力は全く別物であることをこれ程はっきり示してくれる場面も珍しい。

飛行場へ戻る時間になる。最後に田中一村の絵ハガキがほしいと家内が言うので彼の美術館に行く。「あやまり(綾毬)海岸」という妙な海岸に寄って空港へ戻り、レンタカーを返却。飛行機も予定より早く離陸、隣の座席にも人はこなくて、帰りは快適に成田へ向かう。最終便らしく、機内食も全て30%のディスカウント。飛行中の機内でもGPSは効くので、iPad miniの画面の地図上に現在地が表示される。今機内でこれを書いているが、現在四国の高知上空。昨年ドライブしたあたりだが、残念ながら、雲に覆われて下は見えない。このまま成田へ無事に着くように願いつつ。

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