4/23(金) Cogoleto→Genova
朝5時に目が覚めて、ベランダへ。深山幽谷の趣。白くなりかかった空の下に黒い山の稜線が重なり合っている。山の中腹にも集落があるようで、暗い中に小さな光が見える。ピーピーと鳥の声が谷間に響き渡る。廃墟になって壁だけが残った城壁が山頂にあり、きれいなスカイラインを一部壊している。7時朝食。暗い豪華な部屋に大きなテーブルが置かれ、手の込んだ朝食が2人分だけ用意されている。1人1泊42ユーロ。自家製のケーキやパン。ソーセージ、…珍しく外は小雨。
予定通り8時に出発。すれ違いが気になるような幅の狭い曲がりくねった山道をそろそろと降りる。レンガ造りの崩れそうな汚い小屋が岩盤に張り付いている。小雨の中、約束の10時ぎりぎりにリビエラ海岸沿いの高速道路上のボルゲット(Borghetoo)料金所を出る。見渡すと道路わきに車を止めて合図している人がいる。Simonaさんだ。背の高い夫のGiulioさんもすぐに車から姿を現わす。3年前に彼らの新婚旅行を5日間東京で案内して以来の再会。今度は彼らがわざわざ休暇を取って案内してくれることになっていた。
早速車を連ねて近くのトイラーノ(Toirano)鍾乳洞へ。12000年前の洞窟で先史時代の原住民の足跡や手跡、遺骨などが残っている。入り口は狭いけど、中は深く、細かい石灰岩の結晶が見事。小学生の見学の時期らしく、数十人の団体が入り口をふさいでいる。英語のガイドはいないのでSimonaさんとGiulioさんが通訳をしてくれる。特に印象的なのがサンゴ礁のような結晶群。貴重な遺産を保護する目的で写真は禁止。でもその「サンゴ礁」や特に見事な黄金色の結晶波のところでは許されている。
ジェノアの近くコゴレト(Cogoleto)の二人のアパートへ。外見はややくすんでいるけど中に入ると明るくかなり広い。Simonaさんの窓からは地中海が見え、夏には100Mほど離れたその海岸で泳ぐそうだ。2人は2人乗りのバイクで雨の日もジェノアまで通勤するという。Simonaさんはジェノアの病院で白血病の研究医。Giulioさんはジェノアの会社でコンピュータのエンジニア。当てにならない電車だと1時間かかるのにバイクだと30分程度らしい。帰りも遅くとも7時前には二人そろってバイクで帰宅し、夕食の準備にかかる。台所の流しは直角に2つ配置され、共同作業の様子が想像できる。たまたまSimonaさんの母親も来ていて料理を一緒に作ってくれた。彼女は我々に挨拶するために英語を勉強したという。隣の2世帯住宅に住む若夫婦がクルーズで出かけている間、その90才代の両親の面倒を見るために170キロも離れた実家からやってきていた。「相沢さん晩餐会 (The Aizawas' Banquet) のメニュ」ときれいに印刷されたカードまで用意されていて、用意した料理の名前が細かく書かれ、それに従って歓迎パーティが進行する。レモンで味を付けたアンチョビ、様々のセラミ、いろいろな種類の角切りしたチーズ、乾燥トマト、タコ料理、ビーフ・ハムなどに種々のパンとルマッシナ(Lumassina)というイタリア・ワインや日本茶まで用意して前菜を構成。それにリグリア地方のパスタとイカにアーティチョークを添えたものが続く。それに自家製のイチゴ・アイスクリームという献立。すっかりご馳走になってしまったあとで、ジェノア市街へ出て観光。最後はまた予約してあった古い豪華なレストランで晩餐までお世話になってしまった。
<フロントページへ>