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Londonの北17キロの郊外の小さな町に住む夫婦。夫のLee(52)は教育機器の販売を手掛けるセールスマン。妻のVicky(50)KLMオランダ航空勤務だから、航空会社員の特権(?)を利用して来たのかと思ったらJALで来たとのこと。オーストラリアが今回の目的地でKLMには都合の良い便がなかったとか。従って東京は行き返りの中継点でそれぞれ3日だけ滞在し観光。私は帰りのStopoverの間の1日を案内することになっていた。Vickyは、6年前に私が品川SGGを通じてガイドした同じKLMに勤めるイギリス婦人Katieの友人で、彼女からVickyが日本に行くのでガイドを頼めないかとのメイルをもらっていた。

Itineraryは任すというので、ホテルが築地市場に近いこともあり、まず築地へ行くことを提案したら賛成したので出かけた。朝食を食べていないというので、築地で寿司でもと思っていたら、Leeが魚類が一切ダメとのことが後になって判明して予定が狂った。それでも珍しいからか2人とも写真を撮りまくるし、目を見開いて歩き回っている様子。「生きづくり」をするというが本当か? と聞く。鯉の生きづくりを説明するがあたりに鯉は見つからない。Vickyは「狭い通路を動き回る車は正式には何と言うのか?」と聞く。今まで私はlorryとかwagonとか適当に呼んでいたが正式には分からないと答える。あとで調べてみると「ターレ」(Turret Truck)と呼んでいることが分かる。Turretは語源的にはTowerに由来するようだが、そう言えば運転台が小さなTowerになっている。

市場の喧騒を逃れて一呼吸入れに隣の浜離宮へ。松の刈込や冬支度だけでなく、大枝の下に太いpropがあるのを不思議がる。特に「300年松」は何十本というPropに支えられて生き延びているのに唖然。でもここ一帯の静寂を喜ぶ。いつも聞かれて答えにくいのは池に行く途中に目につく「可美真手命(うましまでのみこと)像」。ガイドとしては、神話の不可解な軍神像をわざわざここに置かなくても...と思う。戦時中、寛永寺の大仏まで兵器製造のため供出させられ溶かされたのに、「軍神」であるという理由でこれは生き延びたことを説明し苦笑い。

朝食抜きだったので、スターバックスへ行きたいという。新橋まで行けばあるが、次の目的地はお台場なので、汐留まであるいてユリカモメでお台場のスターバックスに行くことにする。彼らは「スタバ中毒(?)」のようで、他の店にはあまり関心がない。とにかくAquaCity1階の見晴らしの良いスタバに到着。肉と野菜を挟んだオムレツのような形のものが彼らの好物。もう11時なのでbrunchというわけで、私もいただく。犬の売り場で値段に驚き、30分猫を撫ぜるだけでコーヒーも出ないのに700円取られるネコカフェのメニュを見る。そのあとトヨタのMegaWebへ。新装なったショールームで運転のシミュレーターは2階に移り、数も増えたので待ち時間がない。2人が挑戦。1人乗りの超小型カーも彼の興味を引き、試乗。

そのあと更にスカイツリーへ行きたいと言う。浅草で羽子板市を見てスカイツリーへ。スカイツリーは入場料が高い上に英語の案内も充実しているようで、ガイドとして一緒に行ってもあまり役に立たないので、今まではかってに行きなさいと行き方だけを教えていた。しかし私自身上ったことがないことを知ると「ガイドのお礼に一番上の展望台まで招待したいので是非」というので、その言葉に甘えて行くことにした。スカイツリー駅に着いたのは夕暮れ近い4時ころ。空はきれいだが、待ち時間なし。外国のクレジットカードでも難なくその場で切符が買える。4台ある40人乗りのエレベータも20人くらいしか乗っていない感じ。50秒で350mの第1展望台へ。先ほど見たお台場の観覧車、銀座、新宿、池袋などの高層ビル群がそれぞれまとまって鳥瞰できる。今までスカイツリーを希望する依頼者にはタダの都庁展望台を推薦してきたが、ここはやはり少し違う。都庁の展望台は高層ビルの林立する中にあるので、ほぼ同じ高さのビルを周りに見ながらその先を見ることになるが、スカイツリーは競争相手(?)が回りにいないので、例えて言えば、着陸5分前の飛行機が都心上空で静止した感じになる。それが夜になると文字通り光の海の中に浮かぶ飛行船になるので、2人はFantastic (view)!を連発。夕暮れの時間でも窓際は人でいっぱい。窮屈な感じ。更に1000円追加で450mの第2展望台へ。これも待ち時間なしで30秒で到着。ここはかなり空いていてガラガラ。ゆっくり写真も撮れる。窓の外に「634メートル」などの文字が現れては消える。演説者が用いる、聴衆に見えない台本(speech prompter)の技術だな...Leeが言う。更にシースルーの足下窓。クリスマス・デコレーションが飾られ、その前に座って夜景をバックに写真を撮ってくれるサービスもあるので、1人で来ても自分のカメラでタダで撮ってもらえる。Leeは「ここは日本のハイテク技術を外人に見せるのにも良い場所だね」とも言う。この階の「空中レストラン」は料理だけで112,000円〜15,000円もするが平日でも予約で満員。帰りのエレベータも待ち時間なしで下に降りて、我々はソラマチのフードコートでおしゃべりをしながら780円のカレーライスを食べる。そのまま銀座まで送って電車内で別れた。彼らはプラットフォームで電車が動き出しても手を振っていた。


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奥さんのYen Phin(53)はマレーシアから豪州の大学へ進学、大学卒業資格でオーストラリアの永住権を取得。ヒューレット・パッカード勤務。夫のTat Lim(54)も中国系の両親を持つマレーシア生まれで、アメリカの大学へ留学後、東海銀行豪州支店勤務からWestpac銀行へ。市民権を持つYen Phinと結婚したので自分も自然に市民権を得る。長女Jessica(21)は歯科大学3年、次女Jennifer(18)は法経専攻の大学1年生。

900に新宿のホテルで会う。真っ青な空の冬ばれ。今日はクリスマスの前日。Christmas Dayは日本ではWorkdayだというとエッと驚きの表情。クリスマス・イブもほとんど日本ではクリスマス・ケーキを食べるだけの日だというと苦笑い。鎌倉へ。新宿起点なので小田急の「鎌倉・江の島1日フリーパス」(1,430)を使う。片瀬江ノ島までの往復と江ノ電が乗り放題。JRで鎌倉へ出て江ノ電の1日パスを使うより1000円近く安い。ただ江の島や藤沢への直行便は割に少ないので、たまたま来た本線の急行に乗る。車中ではこれまでの彼らの関西旅行の失敗談。JRパスで予約をしているのに、間違えて2分早い「のぞみ」に乗ってしまい、車掌に降ろされた話。嵯峨野巡りも冬雨の中、道に迷って大変な思いをしたことなど。

先日案内したアメリカ人が大学授業料が600万だと言っていたことを言うと、夫のTat Limはアメリカの私立大学を出ているので同意。12年は同額だったが、4年目は1000万もかかったとのこと。しかし現在の娘たちの通うオーストラリアの大学はほとんど国立であることもあって、80万〜100万程度だそうだ。国によってかなりの違いがある。また「日本では年次休暇の20日を使わなくても2年後には自然消滅するというのは本当か?」と聞く。オーストラリアでは、使わない休暇分に対して雇用者は多額の補償金を払わねばならず、それも望まない雇用者は使用者に休暇を使うように奨励するとのこと。

相模大野で江ノ島線に乗り換える。しかしこの支線が結構混んでいて、しばらくしてやっと全員の席が確保できた。藤沢でスイッチバックしてノロノロ進み結局1時間半くらいかかって片瀬江の島へ。京都も奈良もずっと雨だったようで、今日の冬晴れは別世界のようだと言う。ただ冬の日本は彼らには乾燥しすぎているようで、保湿クリームを何度も手などに擦り込む。早速弁天橋を渡って弁天の大鳥居に通じる仲見世を進む。奥さんと娘2人はあたりにいる野良猫に異常なほどの関心を示す。家庭では3人が1匹ずつ自分だけのネコを飼っていて、今回の旅行に当たってもCatteryと呼ばれるネコを預かる施設へ一晩12000円で預けてきたそうだ。旅行中のネコの管理費用だけで96,000円にもなる。だからネコカフェには興味があり、最後の日に自分たちで充分時間をかけて歌舞伎町のCalico Cat Cafeに行くことになっている。

小カニやタコの煎餅を試食しながらエスカー(エスカレータ)4回乗り継いで頂上のコッキング苑へ。どういうわけか季節外れのチューリップ園が満開。230年前明治のアイルランド人の富豪Samuel Cockingが別荘を作ったところだけに、展望塔へ上がると西に富士が聳え、海に浮かぶ豪華船の高い甲板にいるように見渡す限り3方に太平洋が広がるすごい眺望。外気にさらされる上の階に行っても、やや寒いが、風もなく快い。富士をバックに写真を撮る。降りて庭を歩く、多種多様の樹木のなかに、Cockingが作った大温室が発掘されて廃墟のようなところがあったり、中国の昆明との姉妹都市関係から六角の尖塔などもあり、中国系の彼らを引きつける。

ランチに寿司が食べたいというが、島は刺身屋しかない上に値段は高め。天ぷらでも良いというので、やむなくいつも行く江ノ電の駅近くの天ぷら屋へ。やや少なめだが1000円で定食に飲み物がつく。刺身も取りみなでつつく。

江ノ電で長谷へ。大仏を見る。奈良へ行っても大仏は見なかったようで、興味津々。層ごとに重ねていく大仏の作り方、やや前かがみのため首の部分が弱く地震でクラックが入り補修されている様子を銅像の内部から見る。またもともと堂内にあったものが度重なる津波で堂だけが流されて柱の銅像と礎石だけが重すぎて残っていることに関心を示す。

長谷寺へ。最初に洞窟(弁天窟)から入る。窟壁の仏像もいつ彫られたものか分からないので、聞かれても始末が悪い。水子地蔵を見て驚き、更に上へ。京都に行ったのにあまり仏像は見ていないようで、阿弥陀堂の阿弥陀如来には、初めて仏像を見るようにしばらくじっと対面。壁の般若心経を読み、経蔵や孟宗竹の林、太平洋を望む展望台から海でつながる遠くの豪州を望み、「オーストラリアが見える!」と誰かが言う。

鎌倉駅へ。米ドルを交換したいと言うので駅近くの郵便局へ行くが、混んでいて時間がかかりそうなので、あきらめる。若宮大路の店を見ながら進む。途中笹の葉に包んだ柔らかい石鹸や鎌倉彫などに引っかかる。実朝が待ち伏せされた大イチョウや静御前の舞などを説明しながら八幡本宮へ。もう黄昏時で写真も撮りにくいほど。京都では伏見稲荷も行っていないというので、脇の稲荷神社へも上がり、赤い鳥居の行列を見る。帰りは小町通りを物色しながら、鎌倉駅へ。小田急のパスを買った関係で、更に藤沢まで江ノ電、藤沢から相模大野経由で新宿へ戻る。新宿改札でお互いに別れを告げる。

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