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最初依頼を受けた時は男女7人のグループだったのが、ホテルがまとまって7人取れなかったというので、女性4人のグループになった。グループの中心のPはパン屋で働く女性、彼女の高校時代の親友Kと日本旅行を計画したら、彼女が勤務する金属機器販売会社の同僚Sが一緒に来たいと言い、豪州系の会社の社長秘書をしているKの妹Bも行きたいというので、4人になった。B36だが、他の3人は40代前半でS以外は独身。Sも既婚だが子供はいない。

西日暮里から徒歩5分。込み入った小さな家が密集する中に普通の木造アパートを思わせるTokhouseというアメリカ人が経営する旅行者用宿泊施設がある。木製の床一間だけで、片側の小さなキッチンて料理し、テーブルを置いて食事も出来るが、それをどけて床に布団を敷いて寝るのだそうだ。彼らはそこで夕食は「自炊」するし、部屋に洗濯機もあり洗濯もできるという。

1日目(4/12

築地市場を見たいとのことだったので、今日は830に会うことにしていた。少し早めの815に着くと、すでにアパート前の細い道に一同勢揃いしていて、私がキョロキョロ探していると先方から声をかけてきた。

物価の安い国からの来訪者たちで、かなりの倹約旅行のようで、東京メトロの1日券710円で回ることにする。西日暮里から日比谷経由で築地へ。本願寺を説明しながら魚市場へ向かう。まだ早いと思ったが、ノコギリで大マグロを切る場面には出会わない。でも彼女らは魚に慣れていて、大きなミル貝などのさばき方も知っている。大きな貝柱を貝からはぎ取るようすも興味津々。「刺身食べたいか?」というと「是非」というので、500円のパックを見つけて、箸を5人分もらって醤油をかけてもらい皆でつまむ。冷凍が少し残って冷たいがみなペロッと平らげる。その後場外市場の中を通って戻る。途中1人がカツオダシで味付けした卵焼きに気付き、食べたいという。他の外人にも人気があるようで、店の人が「カツオだし巻きって何て言うの?」と聞くのでbonito-flavored omeletかなと言うと、覚えようしてボニト、ボニトと繰り返す。

築地から銀座へ歩く。途中お茶を売る店の前に試飲用に並べられたお茶をPはうまそうに飲む。歌舞伎座の前を通るので歌舞伎のことを説明しても誰も知らない。

銀座線で上野へ。メイル交換で「もう普通のサクラはムリだよ」といってあったので、上野駅中央口前の屋内にある紙製の花びらを付けた大きな木を見つけて歓声をあげる。早速その前で「記念撮影」! 外に出てアメ横を歩いていると乾燥貝柱に興味を示す。日本語を使う店の主人も実は中国人ということも多く、彼女らは中国語で話す。倹約家の彼女たちだが、K500gの乾燥貝柱を1,500円値引いて5,000円で購入。母親が料理が好きで好物なので姉妹でお土産にするという。

松坂屋のデパ地下を見て、不忍池へ。うまい具合に八重桜が満開。特に池の奥の方を横切る散策路は八重桜の列で壮観。時間をかけて何枚も写真を撮る。そのままいつものように公園を説明しながら進む。マレーシアだったら普通の通りでも大きな声で叫ぶ人がいて静寂がかき乱されるものだが、日本ではみな静かだね...と言う。ランチで彼女たちが食べたいというラーメン屋へ。

彼女らは、マレーシアに住んでいても親の少なくとも一方は中国人で、自分たちだけの話はいつも中国語。そのせいか中国訛りの妙な抑揚と発音の英語になり、聞き取りにくい。foodfootに聞こえ、breadbulletに聞こえる。またランチは中国式に、どんぶりの麺類を含めて全て注文した料理はテーブルの中央に置き、自分の小皿や小さな器に少量ずつ移し替えて食べる。確かに好きなものを好きなだけ食べられるし一体感も出るので合理的でもある。

浅草へ。女性だけのグループなので淡島堂へも案内。みな賽銭を投げて真剣にお祈りする。人があまり来ないので静か。その後隅田川の岸辺に行き、スカイツリーを写真に収める。丁度黄色いアサヒビール社屋の側面にスカイツリーが写っていて面白い。

秋葉原へ。Pはガンダム好き。フィギャーを見ても買うほどではないが、写真を何枚も撮る。他の人たちはあまり関心なさそうで、アイスクリームでも食べたいというが時間がないので、最後に予定しているお台場へ急ぐ。これもお台場に置かれた巨大なガンダム像を見ることが主な目的。

新橋まで地下鉄を乗り継ぎ、ゆりかもめへ。フリー切符などは買わずに、とにかく倹約精神でお台場の入口「お台場海浜公園」へ行き、あとは歩くことにする。まず人工の浜辺を歩く。もう5時を回っているせいか、静かでほとんど人通りもない。歩くにつれて海の向こうのレインボウ・ブリッジの形が変わり、その度にPKは懸命にシャッターを切る。自由の女神のすぐ前のトレイルに立つと夕日が像と橋にあたり、きれい。すでに十数人の中国人団体が中国語で叫びながら写真を撮りあっている。そのあとガンダム像まで歩く。観覧車やVenus Fortが見えるので説明するが興味はなさそう。

帰りはゆりかもめもラッシュになり、立ち通しで新橋へ戻る。新橋でもラッシュの混雑は続き、地下鉄を乗り継ぎながらやっと西日暮里へたどり着いたのは7時前だった。明日はみなでDisneylandへ行くと言うので、JRの日暮里駅で経路図を見ながら舞浜への行き方を教えて別れた。

2日目(4/14

今日も9時に会うことになっていたが、850に行くと既にアパートの前に勢揃いしている。今日も東京メトロだけを使って移動することにして、710円の1日券を全員が買い、私も買ってもらう。まず都庁展望台へ。2日後にバスツアーで富士箱根に行くと言うので、新宿西口のバスターミナルに寄って確認をする。都庁は南展望台の方に人気があるのか列が出来、北はガラガラ。快晴だが富士は見えない。高級一眼レフ、スマホ、iPadとそれぞれの手段でカメラを交換しながらそれぞれ自分の写真も撮る。

隣のNSビルで大きな振り子時計を見る。ついでに29階に上がり下が見下ろせる空中の通路を歩く。窓からは同じ高さの高層ビルが林立するのが同じ高さの視点からきれいに見えるのに歓声。次に新宿から原宿へ向かう。地下鉄1日券なので、丸の内線、新宿3丁目で副都心線に乗り換え、明治神宮前へ。日曜で大混雑だが結婚式にも出会う。花嫁の「角隠し」の俗説を説明するとニヤニヤしている。ランチに寿司を食べたいというが原宿にはあまりないし、混んでいそうなので、「さくら亭」のお好み焼きへ。初めての経験のようだったが、さすがに女性群だけあって手際が見事。1人はそれをビデオに撮る。口にすると皆「うまい」と親指を立てる。宗教上の理由で牛肉はダメだが、豚や鳥はOKとのことで選択の巾もある。ここでも大きなお好み焼きを3つ焼いて皆でシェアしたが、きれいに平らげた。

そのまま表参道に出て、千代田線で二重橋前へ。地下鉄ホームの「女性専用車」のマークを見て、「マレーシアにも見るとあるけど、男性は誰も守らない」と言う。「日本の女性は強いから、そんなことをしたらここでは大変なことになる」と言うと、大笑いになった。駅で時計を見ると3時半を回っているので、東御苑の入園規制の4時までに入るために急ぐ。御苑内の日本庭園は新緑の中にツツジが一面に真っ赤で鮮やか。竹林の竹の子もニョキニョキ出ているが彼女たちは見たことがないという。写真を撮ったり池の緋鯉を眺めたりしながら江戸城址へ。上に登って一休みしながら雑談していると、警備員が回ってきてもう閉門だという。そのまま出されて、夕暮れの二重橋へ。

最後にみなで寿司を食べたいというので、また築地に行くことになった。「寿司ざんまい」の看板をみると「マレーシアにもある」と親しみがありそうなので入ってみる。セットを3つほどとってこれもシェア。油が乗っているマグロは彼女たちもうまいと言う。しかしかなり高いので、夜行バスを使って倹約しながら日本を回る彼女たちにおごってもらうのは気が引けたが、これがマレーシアの感謝の仕方だというので、好意に甘えた。

そのあとHard Rock CafeTシャツを買いたいというSに付き合ってみなで上野駅へ出て、そこで別れた。

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以前案内したオーストラリア人から、その友人一行を案内してくれないかという依頼を受けてガイドしたものです。サクラのころはガイド依頼が殺到することを見込んで3か月前から依頼をうけていましたが、8人もの大グループでちょっと気が引けていました。しかし会ってみると気持ちのいい50代から60代の4組の夫婦で、その奥さん方4人が姉妹9人兄弟姉妹中で、それぞれの夫を誘っての旅でした。男たちは、4の夫T3(N)の夫Pが銀行関係のコンピュータ・エンジニア、次女(J)の夫Sは東南アジアを対象とした食品の貿易商、長女(L)の夫B66才で退職者です。

1日目(3/31) 大崎駅のすぐ近くのホテルのロビーで8人に会って打ち合わせ。多人数なので切符を買うのも大変だし、彼らは関西へも行くというので、大崎駅で全員に全国で通用するようになったスイカを買ってもらうことにする。またガイド中に私のiPhoneWiFiルーターに使っても良いと言うと、皆自分のスマホを取り出し、喜んで早速その場で実験して確かめる。一度に5人まで接続可能。大勢なので迷子になったときの私の電話番号も知らせ、近くにあった公衆電話を見ながら使い方も教える。

小雨気味だが野外を中心に回ることにして、まず東京駅から皇居へ歩く。こちらの説明もするが、とにかく次々と質問攻め。給与や年金、学校制度などはいいとして、天皇の話で裕仁、明仁と来て、皇太子の名前は? と聞かれて思い出せない。普通は名前を使わないと弁解するが、不思議そう。(あとで調べたら現在の皇太子は「徳仁」と判明。)またオーストラリアでは選挙権は義務でもあり、投票に行かないと120ドル(12,000円)の罰金を取られるとのこと。(地方選挙では5,000円で済むそうだが...) 消費税も今すでに10%なのを15%にしようとしているそうだ。またオーストラリアでは60才になると全ての交通料金、入館料、医療などが割引(Concession)があるようで、切符などが必要な場面では必ず年配者から聞かれた。

例によって二重橋前で写真を撮るとき、全員の写真とそれぞれ4組の夫婦を別々に撮る。そういえば、髪型などは違っても女性4姉妹はさすがに似ているところがある。東御苑の日本庭園も菖蒲の緑が大きくなり、まだ桜がきれいで盛んに写真を撮る。気が付かぬうちに雨も上がっていて、本丸跡の近くにある唐実桜を背景に、入れ替わり立ち代わりシャッターが切られる。確かにきれいな桜。

そのまま今度は上野駅へ。みどりの窓口でこれからの乗車券を全部予約して、アメ横へ。棒付きの細長いパイナップルを皆でほうばりながらショッピング。買い物好きの女性群はまた自分たちで来たいというので、この場所の名前を記憶しようとする。かつてアメリカ人が言っていたのを思い出し、「上野」は「We know」と言えば通じるよ...と教えると喜んで繰り返す。そのまま寛永寺のことを説明しながら上野公園へ。桜の下はロープで「宴会」のやれる場所が区分けしてあるのを彼らは不思議がる。ラーメンが食べたいというので再度アメ横に行き、「札幌ラーメン」の店を見つけて入る。販売機で食券を先に買う形の店だが日本語の表示しかなく、異なったトッピングのラーメン9人分の注文を付ききりで処理するのも時間がかかる。それでもまとまった席が空いていてホッと一息。そとは寒かったので熱い麺はありがたい。

浅草へ。桜シーズンの日曜日なので仲見世通りは混雑。宝蔵門で落ち合うことでしばらく解散。浮世絵などを買って、みな時間通りに現れる。日本に来る前の韓国で風邪をひいて咳をしているKが、宝蔵門脇の「撫で仏」で懸命に喉をさすって祈る。膝が気になる最年長のBは奥さんのLとともにピカピカの仏の膝をますます磨く。そしてみな香炉の煙の中に入る。いざ本殿に入るという段になって、姉妹2番目のJとその夫のSが中に入らず、外で待っているという。あとで他の人が、「彼らはカトリック教徒で、韓国でもそうだったが、仏教のお寺に足を踏み入れることをしない」と教えてくれる。

このあと明治神宮閉門まえに原宿に着かねばならないので、急いで銀座線に乗る。始発駅なので日曜でも多人数がまとまってゆっくり座れる。表参道駅から明治神宮前駅へ。結婚式用の集合写真の場所などには人気がないまま道具だけ残されているが、もう遅い時間なので行列などもない。ここでも神殿前まで進むのは8人中半分くらいの人たち。でも賽銭を投げいれて礼拝の仕方を教えてくれという人もいる。

そのまま竹下通りへ。ものすごい混雑。迷子になったら次の信号で待っているように言って、進む。ダイソーの前を通ると、メルボルンにも同じ系列の「ダイソー」があるという。しかし100円ではなく、2ドル80セントだそうだ。300円ショップというところか。Bが、皆の目印に傘を上に上げながら私と一緒に進んでくれる。原宿通りになると混み方が少し楽になるが、今度は女性群が突然立ち止まって店に入る。男性群はもっぱら外でカメラ。更に表参道のオリエンタル・バザールへ。2階の和服の帯のところで引っかかる。テーブル上の敷物に使うのだそうだ。売られているものは全部戦前に織られたアンティークで5000~1万だが、時間をかけて物色ののち購入。

外へ出て、コーヒーでもという。9人がまとまって座れる店はなさそうだが、近くのカフェに入って一服。外に出るともう暗くネオンが輝く。しかし彼らはそこが気に入ったようで、もう少しそこにとどまるというので、帰り道を確認してそこで別れる。

2日目(4/2)

今日の中心は、築地市場、浜離宮、お台場を予定していたが、予報では1日中雨で低温とのこと。予定通り9時に行くと8人全員がすでにロビーで立って迎えてくれる。とにかく築地市場は時間が早く、雨でもOKなので、すぐに出かける。SJは刺身がダメだが、他の6人は刺身好き。市場を歩いていると、年長のBがプラスチックの入れ物にギッシリ切り身の入ったマグロの刺身を600円で買ってきて、みなに配っている。醤油やワサビがなくても、そのまま手でつまんで皆うまそうに食べる。新鮮なのに安いという。私も勧められて醤油なしに食べてみるが一応いける。かなりあったマグロは瞬く間に全部消えた。オーストラリアのマグロは紙みたいにうすいとこぼす。場内に並ぶ寿司の店の前に行列を作る人たちを説明し、横目で見ながら、外へ。雨なので浜離宮は諦めて、場外の店の中を抜けて、晴海通りから銀座へ歩く。途中新装の歌舞伎座が初日の旗をひらめかせている前にものすごい人の行列が出来ている。「あれは何?」と聞くが、歌舞伎にはあまり関心なさそう。銀座4丁目の交差点で銀座を説明後、雨が強いので博物館はどうかと提案。「国立博物館と江戸東京博物館とどっちが良い?」というと「国立」というので上野へ。一昨日通った桜の道を再度行く。皆よく覚えていて、清水寺や大仏の位置を私に教えるほど。博物館ではNが英文の地図に付いている割引券をたまたま持っていて、全員が100円引きの500円で入館。(私は70以上なのでタダ)。説明書きや札に英語の説明もついているし、それぞれ好みも違うと思われたので、とりあえず1時間、自由に見てもらう。

気が付くと1時になっていて空腹だというのでランチにする。天ぷらと刺身も食べられる店というので駅近くの「音音」に行く。竹に包まれた雰囲気の良い店だ。ウィークデイのせいか、うまい具合に9人座れて料理もわりに早く出てくる。この雨ではお台場はムリかなと思っていたら、男性たちがトヨタのMegaWebに行きたいと言い出した。女性は行きたくないようなので、近くにVenus Fortがあることを紹介して別行動をすることにする。

ゆりかもめで青海に着いて実際別れる段になると、男性4人と3女のNがトヨタへ。残り3人がVenusへ。40分後に男性群が約束の集合場所へ行くと、女性群はまだ買い物中だという。そこで皆Venusへ入り、男性群は近くのカフェで談笑しながら待つことになった。中世のヨーロッパの荘厳な建物に囲まれた中庭といった感じのところに黒い鉄骨の椅子が置かれている。中世風の壁や豪華な柱に区切られた天井部分は大きなドーム状で真っ青の天空が一面に広がっているので、1日中雨にたたられた身には束の間の「晴天」を経験できて、思いがけずみなでホッとした気分になる。外は雨なのになぜ中庭に雨が落ちてこないのだろう...と錯覚するほどだ。やがて買い物から女性群が戻って来る。

「最後に新橋に戻って夕食のお別れ会をしたい」といって誘われる。最初じゃぶじゃぶが良いとのことだったが、オーストラリアと違って牛肉が高いことを理解してもらって、焼き鳥、刺身、おでんなどに切り替える。先日行った「一平」を思い出して案内する。ただ、彼らとの話で、前夜の夕食で頼みもしない「お通し」を強制されて不愉快な経験をしたと聞いていたので、「お通し」をやめてもらうよう店主と交渉。最初は渋っていたが結局合意。そこで、男性が少し試したいという熱燗を2合と、焼き鳥、刺身、おでんを適当に取ったら、全員が満腹になり、9人で23,000円位だった。彼らは全員が1つの家族のようで、誕生日と言えば付近の親族が60人もよく集まるという、気持ちの通じた人たちなので、私も家族の仲間に入れていただいたような感じで、気持ちよく談笑できた暖かい時間だった。

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