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シンガポールからの兄(R)、妹(Ra)のカプル。10代か20代にしか見えないが仲の良い4139の兄妹。2人とも独身でRは地元商社の買い付け担当、Raはコンピュータ技師。祖父母は中国人だったとのことで2人の間の会話は中国語。Rはシンガポールの日本語学校に1年通ったことがあるとのことで日本語の基礎的な挨拶や簡単な受け答えは出来る。むしろ彼の中国語訛りの英語は、アクセントが間違っていたり、文末に妙な抑揚があって聞きにくい。2人は日本のアニメが大好きで、今回はその小型フィギャー(figurine)を漁るのが主な目的。

また今回のガイドはこの2人に別のイタリア人女性が加わることになった。私が事務局代行を受けていた4/19に依頼があり、2日後の4/21にガイドしてほしいとの依頼で、急いでみなさんに応募をお願いした件。申し出は皆無でも急ぐ話なので、私の方で「当日ガイド予定のシンガポールのカプルと一緒で良かったらガイドしてもいい」と返信したところ「それでも良い」というので、既に大阪に来ていた最初の2人の了解を得て、3人一緒のガイドになった。

その第3のイタリア人Dはローマの東方、東海岸に近いところのCietiという町でパスタを世界的に販売している会社ディ・チェコ(De Cecco)の企業情報戦略部長?(business intelligence manager)として働く40代後半位の女性。実際日本ではイタリアで食されるパスタより細めのものが好まれるらしい。そういう情報を組織的につかんで商品生産を変えていくそうだ。そして日本はアメリカに次いで世界で2番目にパスタを消費するお得意さんだそうだ。イギリスのマンチェスターで3年研修したこともあるとかで彼女の英語がきれいで助かる。早朝640に成田着後、成田でJRパスの手続きを済ませて、そのままJRで都内に入るとのことだったので、1030に東京駅、成田エクスプレスの到着ホーム前方で会うということにしていた。

雨が降る寒い日だ。約束通りまず9時に都庁横のワシントン・ホテルでシンガポールからの2人に会う。そのとき既にDからはSMSで飛行機は予定より30分早く、すでに成田に到着したとのメッセージが入っていた。とりあえず2人とともに東京駅へ向かい、930分には東京駅に着く。たまたま彼女の電話番号も聞いていたので、居場所を聞くためにかけてみる。うまくつながり、近くの駅員に代わってもらうと「地下駅中央口」とのこと。そのまま予定より1時間も早く、うまい具合に全員がそろった。ロッカーに荷物を預け、出発。

最初はアニメの場所へ行きたいと言っていたRRaも、メイル交換の中で私があまりアニメに詳しくない老人だと悟ったようで、途中から上野、スカイツリー、東京タワー、お台場を案内してほしいと変わっていた。一方、Dも上野、お台場やあまり旅行者ずれのしないところに...と言っていた。たまたま冷たい雨の日曜日だったので、スカイツリーや東京タワーは無意味ということで、彼らの興味の共通部分の上野、お台場に行くということになった。

まずアメ横を歩く。季節外れの寒さに震えながら、それでも片手に傘を持ち、片手にカメラを突き出して皆写真を撮る。傘を持つ手が疲れたと思われるころ、屋根のあるアーケード街に入る。そのまま不忍池方面に。すでに八重桜もほとんど花が落ち、葉が出て期待はずれの様子。それでも弁天堂への入口あたりの1本だけがまだ満開だったので、そこで桜の時期に間に合った「証拠写真」を撮る。しばらく歩いたので雨を避ける目的もあり、近くの「下町風俗資料館」へ。靴を脱ぐのが面倒のようだったが、小さな古い四畳半に皆で上がって昔の生活の説明をする。畳、障子、雨戸の働きや効用。ちゃぶ台を囲んだ団らんの家族生活。実際に着物がしまってある桐や楠のタンスを開けてその効用の説明。食堂、居間、寝室に早変わりする和室の多用性。湯たんぽ、ヒバチ、汲み取り式トイレと簡易手洗い。蚊帳、衣装箱、神棚など彼らも熱心に聞いてくれる。更に部屋の外には紙芝居、石臼、井戸、かまど、ホコラ。2階には銭湯の番台、五右衛門風呂など私にも懐かしい現物が並べてあるのは説明する方も楽しい。けん玉やお手玉などを教えると彼らもやってみる。外へ出てみると雨はほとんど止んでいる。そのまま清水寺、西郷像、大仏、東照宮と回って今度はお台場へ。

人口過密のエネルギーで東京が爆発して出来た島みたいなものだと言いながら、お台場の人工ビーチを歩く。「ひょっとして海も人工?」などと言われてしまう。「自由の女神」もニューヨークの二番煎じだとすれば、偽物? 「すべてが人工、偽物の島かも...」とDはジョークを言うが、女神とレインボー・ブリッジの写真は懸命に何枚も撮る。RRaがアニメファンなので、「巨大ガンダム像」にも行ってみる。彼らは近づいたり離れたりしながら写真に夢中。一段落してRaが近くの「ガンダム・カフェ」に気が付き、自分へのお土産を探す。気が付くと1時を回っている。ランチというので、一応近くの「ダイバーシティ」へ。日曜日なので大混雑。上の階の小さな店はどこも行列。RRaはベジタリアンで魚・肉がダメだがDは逆に刺身か肉を所望。そこで1階のフードコートに戻り、うどん屋でトッピングを変えて好きなように注文してもらう。幸い野菜だけの天ぷらなどもあり、待ち時間なしで一応みなが満足のようでホッとする。

一応満腹になったので、食後の散歩にトヨタのMegaWebまで歩く。RRaはほとんど全ての車、11台写真を撮りまくる。Dはハイブリッド車に少し興味を示す。シンガポールからの2人は車の運転シミュレーションもやってみたいようだったが、日曜で長い列が出来ていてあきらめる。雨は上がっても曇り空なので、隣のヴィーナス・フォートで青空を見ようと誘う。白い雲の流れる「青空」を見ながらヨーロッパ風の街角を一周し、野外のカフェの設定になっているスターバックスで一休み、雑談。RRaもサムスン製の大きめのスマホを持っていて、取り込んだアニメのキャラクターを次々に見せてくれる。特に異常に髪の長いK-ONHatsuneというキャラクターがお気に入りで、高価なFigurineを探して東京中のアニメ店を回る予定。Dは、「彼らは40にもなってなぜアニメ? という感じの表情。しかし2人に言わせると、シンガポールでは労働が過酷で深夜までの残業が普通。仕事のストレスはかなり深刻だという。そんな時夜遅く帰ってアニメのキャラクターに会うと実際ホッとしてストレス解消にはとても良いという。

最後に表参道へ行きたいとのこと。原宿へ着くと、Dは明治神宮を見たいと言う。RRa2人で表参道を歩きたいというので、そこで二手になって行動するということで2人と別れる。私はそのままDを明治神宮に案内。神社の説明をしていて宗教のことに話が及ぶと、Dは禅宗に興味があるという。実は彼女は無宗教だったが、彼女の夫が2年前に膵臓がんで急死して人生や命のことを考えるようになったと言う。今度の来日の目的も、夫が好きだった寺の庭を自分の家の庭の一部に作りたいので、枯山水などの庭をきちんと見るためもあるとのこと。実際、家でもいろいろ考えることがあり不安になると「南無阿弥陀仏」を唱えると気持ちが落ち着くそうだ。夫もアメリカ系の会社で世界をまたにして活躍をした人で、その絶頂期の49才に末期癌が見つかったあと、あっという間に亡くなった。2人は強い絆で結ばれていて、Facebookの写真も一緒だ。彼女の腕にはきれいな装飾文字で彼の名前の入れ墨も入っていて、大切そうに見せてくれる。ただ、日本の温泉に入りたいのに、入れ墨があると入れないと聞いていて、それが心配だという。温泉の入れ墨禁止はヤクザとの絡みなので、男性を頭においた話で、女性でしかも小さな入れ墨なら構わないのではないか...と答えてはみた。しかし彼女は、一番いいのはパッチを張ってしまうことだね...と笑っていた。

そのまま原宿に戻り、あとは自分で東京駅に行き荷物を取ってホテルへ行けるというので、そこで別れた。

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Lは完全なVeganで例えばウドンの汁にカツオのダシが入っていても動物性蛋白ということで気にするほど。食事の調整が難しいので、メイル交換中にランチの場所を検討した。「野菜寿司」なども興味があると言っていたので、人気のある六本木の野菜寿司「ポタジェ」などがどうかと思ったが、店舗移転中で閉店。結局彼がネットで見つけてきた東京駅の「T's Tantan」というVegan Restaurantでランチを取ることに決めていた。

浅草のホテルは最近名前を変えたらしく、以前の「東急イン駒形」という大きな看板がそのまま掲げられていて、これでは外人はなお大変だろうと思ったが、彼は少し日本語も勉強していて受付できちんと確認したと誇らしげだった。55才で188cmの大男。見上げながら、「小人の国リリプットのガリバーの気分では?」にも「以前の妻が160cmくらいだったから、背の低い私と歩いていても別に違和感はない」とのこと。実際彼は20年前に離婚して、男手一つで、今は31才になる娘を育てたという。ニューヨークの植物園で働いているその一人娘は盆栽が趣味で、今回も同行する計画だったが、仕事で来られなくなり、男の一人旅。

日本は初めてというので一応ポイントになる場所をザッとみて、あとはご自分で気に入ったところに時間をかけてもらうということにした。浅草のホテルからまずは雷門へ。時間が早いせいかまだ開店準備中の店が多い。しかし人通りは少なく余裕がある。スカイツリーやショッピングにはあまり関心がないようで、Vegan趣味を考えて、種々のせんべいや雷おこしの中身や作られ方などを話題にしながら進む。しかし彼は砂糖や味などにも興味がないようで、自分の体験談を話してきかせる。彼はもともとコンピュータ技師で大手の通信会社にいたが、Veganの生活に切り替えた4年前からペンシルベニアの森の中の大きな河の淵に古屋を買って、仕事も地元の小さなインターネット、有線テレビの会社に変わった。自分で屋根や多層の壁も全部はずしてやり直したという。そのとき手伝ってくれたのが、いまだに自然の中で原始生活をするアミッシュ(Amish)の人たちで、同族のような思いがあったようだ。

自分の娘に見せる必要もあって彼はビデオを撮りまくる。私のうまくない説明も音声と共にそのまま撮られてしまうが仕方がない。それにしても日本人はみなやせていて、すばらしいという。彼は以前は300ポンド(140キロ)あったのが、Veganの生活を始めて3年で200ポンド(95キロ)にしたという。以前は高血圧、異常なコレステロール値、血糖値で悩まされていたのがウソのように正常化した。時期は、毎朝、糖分や繊維成分の量、カロリーなどを全て勘案して、自分で果物野菜ジュースを作り冷蔵庫で保存する。それを16回に分けて飲み、その他のものは一切口にしないという生活をかなり続けたという。以前はタバコも吸い、アイスクリーム、チーズ、牛乳なども好きだったが、一切やめて今はむしろ嫌悪感がある。でも匂いのある食物は、生活の中で何気なく匂いを感じると刺激を受けるので、やめるのにずいぶん苦労したらしい。彼に言わせるとアメリカの医者は、人が太るのを放置して病気になるのを待って、ボロ儲けに利用することしかしないという。

隅田川沿いに歩き、銀座線で上野に移動。アメ横を抜ける。ほとんど関心を示さないが、海苔には注目。最近では海苔巻き寿司を週に23回は自分で作って食べるが、アメリカでは海苔が高いといってこぼす。コンビニにも入っておにぎりを説明するが、中身が日本語でしか書かれていないので、梅や昆布のものなら食べられるとは言っても、漢字を覚えるしかない。デパ地下にも興味を示したので、近くの松坂屋地下に入ってビュッフェ・スタイルの売り場でVeganでも食べられるものをチェックするが、サラダでも肉や魚が混じっていてなかなか満足できるものにありつけないことを実感。

とりあえず、ハスのきれいな青葉が出てきた不忍池から弁天を見て上の桜並木を歩く。「大仏」の顔を見ながら、顔以外の部分が太平洋戦争の弾丸になったことを言うと、アメリカでも当時一般家庭から金属が収集されて弾を作っていたと返された。とりあえず公園の真ん中で、あたりの博物館、美術館の位置を確認して、一人で再訪する場合に備える。

東京駅に戻り、皇居へ。東御苑の日本庭園付近。ツツジは母親が好きで植えていて馴染んでいるようすだが、森で生きる彼もイチョウを知らない。オスとメスのイチョウがあり、メスだけが実をつけるというと、オスの木がそれにどのようにかかわるのかと聞くが、勉強不足で答えに窮する。江戸城址を見て、東京駅へ。

駅構内の京葉線ホームへ行く途中に100%Vegan用の「T'sたんたん」というレストランがある。肉、魚だけでなく卵も乳製品も一切使わないので、ラーメンのスープまで飲めるという店。予定していたように、そこでラーメンのランチにする。一見肉の固まりのようなものが麺の上に浮いているが、これも大豆で出来ているという。私も今日だけVeganになって、同じものをご馳走になるが、味は肉団子と言われても分からないくらい。さすがに女性同士の客が目につく。スープも全部飲んだが、不思議に満腹感がある。彼は暑がりで、暑い麺を食べる一方で水を67杯も飲むが、酒類は一切飲まない習慣だという。

そのままJRで原宿へ。明治神宮の森を歩く。本殿正面左の通路で人だかりがあり、祝詞を唱えている様子だったが、結婚式ではない。そのまま竹下通りへ。週末ではないので、それほどの混雑ではないが、彼に言わせると、息をするスペースがないくらいとのこと。大陸の森の中で一人で暮らしている状況を考えると、それが自然な反応かもしれない。売られているものも、娘のおみやげには合わないものばかりのようで、Tourist trapだという。デザイン・フェスタで一服。しかし飲み物はペットボトルの水を注文。話しながら彼はiPadで、やせる以前の彼の姿を写真で見せてくれる。確かに別人のようだ。身体がやせると顔もやせるという。実際、以前の彼は膨れた丸顔なのに、今は全く印象が違う。ただ、身体がやせても、なかなかやせないのが足だといって見せてくれる。確かに私の倍以上の太さ。それが今の課題なのだそうだ。でもピッツバーグからロスアンジェルス経由で18時間かけて昨夜着き、すぐに次の早朝からほとんど休みなく1日歩き続けても平気なのだから、強脚だ。

最後に新宿へ出て、都庁からの展望をする。効率を考えてエレベータが2つ使える北展望台へ。地震国なのに高層ビルが目立つというので、高層ビルが淀橋浄水場跡に集中するようになった経緯を言う。「森林男」の彼でも映画Lost in Translationは見ていて、Park Hyatt Hotelには関心を持つのでビックリ。暑いので、そのまま丸の内線の入口まで案内して、浅草への帰り方を説明して別れる。今朝メイルを開くと、無事にホテル到着を知らせるお礼のメイルが入っていたが、昨夜は浅草へ着いて「蛇骨湯」という古い温泉の銭湯で疲れをほぐしたとのことだった。

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