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2013/10/20
これまでスウェーデン人を2度ガイドしたが、1度はロシアから、もう1度はセルビアからの移民家族だった。今度初めて生まれも育ちもスウェーデンという生粋の(?)スウェーデン人4人を案内した。いずれも70代の退職者の夫婦2組。Carin71)は公務員を退職、夫のLeif(70)はコンピュータのセールスをずっとやってきて退職。もう1人の女性Nina(70)は中学教師を25年やって退職。その夫のHans(72)は保健省の役人を退職後、ストックホルムの大学の交換学生事業を手伝い、毎年姉妹都市の富山の大学から30人前後の学生を受け入れる企画の面倒も見ている。今回も4人で日本観光をしたあとで、彼だけは招かれて一人で富山に行き、大学関係者と会うことになっている。2組の夫婦の息子と娘が結婚し、ロンドンに住んでいるので、2人の両親4人をロンドン・オリンピックに招待したのがきっかけで4人で旅行することを始めて、今回もやはり2人の子供が企画してくれた日本旅行をまた4人で楽しむことになったと言う。

前日の天気予報で大雨の1日になるという予報があり、予定していた原宿と新宿の観光を、前日に電話して博物館巡りに変更し、上野の下町風俗資料館と70才以上はタダの国立博物館にしようと話し合っていた。またメイル交換中に判明したもう1つの問題があった。それはNinaがこの5月に転んで左足首をねん挫して、旅行に間に合わせるべくリハビリを尽くしたが、まだ長い歩行は無理で、車椅子持参で来ていることだった。だから豪雨の中を車椅子では...とちょっと心配だった。

当日時間通り930にホテルのロビーで会う。見ると車椅子がない。雨だし、短い距離ならOKというので、そのままゆっくり歩く。ホテルはJR直営なので、東京駅につながっていて八重洲北口に雨にぬれずに直行出来て都合が良い。JRパス持参者は宿泊料金も10%引きになるそうだ。まず日本滞在中の切符の手配をしたいというので、「みどりの窓口」へ。JRパスを持っていると思ったら、彼らが出したのはVoucherだけ。パスポートはホテルに置いてきたと言う。男性2人に急いですぐ上のホテルへ戻ってもらって、女性には窓口に並んでもらう。Voucherをパスに変える扱いをする窓口は一つしかない上、11人に時間がかかるが、丁度男性たちがパスポートと共に戻ってきたときに順番が回ってくる。彼らはJRパスを翌日から使用する予定だったので、当日にならないとパスに交換出来ないと勘違いしてVoucherのまま当日を待っていたようだった。

とにかくすべてを手配して、山手線で上野へ。心配したNinaも調子よく歩くので心配なさそう。途中皆と話しながら聞いてみるとTea ceremonyは既にホテルで経験し、歌舞伎も全幕を1日かけて見たと言う。「長い歌舞伎で眠らなかったか?」と聞くとイアフォンで英語が流れるのでストーリーは分かるし、眠るどころではなかったとのこと。

傘のなかったHansも上野で買って外に出たが、すごい雨。不忍池湖畔の下町風俗資料館に何とかたどり着く。ここも展示物を説明するボランティアガイドが居るが、11つのものが自分にとっても懐かしいものばかりで人任せにしてはもったいない感じがするので、自分で必ず説明する。近頃見ることもなくなった米俵には日本人1人の1年分の米が入っていることから始め、紙芝居の様子を話して、近くの長屋の四畳半へ。畳1畳は日本人1人が横になるとき占めるスペースであることを言っても、180cm以上ある彼らは「我々には無理だ」と笑うが、同じ四畳半が1日の時間の経過と共に小家族の食堂、居間、寝室に役割を変えるコンパクトな生活様式には感心する。しかし外界と障子の紙を隔てただけの部屋で、ヒバチ、コタツに湯たんぽの暖房だけだったという昔の生活は、寒いスウェーデンから来た人たちには驚異のようだ。汲み取り式の昔のトイレも、彼らの親も幼少時使っていたと聞いたことがあるという。

2階には銭湯の番台がある。男女の脱衣所を見渡せる風呂屋の番頭が座る番台はa most enviable positionだというと皆ニヤッとする。五右衛門風呂では中に踏み板もあるので説明しやすい。アルコールランプを熱源にした喉へのスチーム吸入器は似たものを彼らも使ったという。竹とんぼの軸にギザギザがありそれを擦ると竹とんぼが回る遊具はHansがやり方を知っていて、皆に披露する。実は私も遊び方を知らなかった。

雨の中を国立博物館へ歩く。広小路から上野公園へ入る広い道も川のように水が流れてくる。水のないところに足を運ぶのが難しい。すぐ近くだと思っていた国立博も遠い。公園の中ではタクシーもダメ。傘をさしていてもズボンはグッショリだし、防水靴にも水が入る。

しかし何とか辿りつく。全員70才以上なのでパスポートを提示してもらいタダで入館。ロッカーも入口付近はいっぱいだが、奥のエレベータ付近のものはかなりガラガラ。

2階から古い順に辿る。特に今回彼らが興味を示したのは経文や屏風などの書。漢字、カタカナ、ひらがなの作られ方を説明しながら、個々の漢字がどのように崩されていくかを添えられている札のテキストと比べていく。我々も読めないものも多く、彼らが崩された字を同じとは思えないというのも分かる。特に右から左へ縦書きされた書も興味の中心。

茶器のところでも、同じ茶碗なのに全く違う印象のものになるのは何故? と言う。粘土の違いや焼き方を言うが、製作経験のない私には自信がない。浮世絵でも木版から印刷までの仕方を言うと、グーテンベルグの話を出されるが、時代も違うし、木版多色なので比較は無理。特別展示の「根付」には興味津々の人が多い。説明していると関係のない人まで質問してくる。

やや小降りになった雨の中を脇の食堂へ。和洋中なんでもあるので便利。食事をしながらスウェーデンの社会福祉についてちょっと聞いてみる。スウェーデンはEUの国だが通貨はユーロに加わらず、クローナという単位を使う。お金の話になると、面倒なのでiPhoneにある通貨変換をリアルタイムで行うソフトを使って変換しながら話す。福祉国家と言われるし物価も違うので単純比較は難しいが、年金は113万円くらいとのこと。消費税が25%の他に給与からも48%程度の税が引かれるようだが、健康保険料などもその税に含まれる。でも入院などすると3-5万くらいは自己負担をするという。

前回にガイドしたスウェーデンからの人は移民だったと言うと、シリアからの移民が最近特に増えているとのこと。政府も特別枠でシリアからの移民の永住権を認める政策を取って受け入れに積極的。でもスウェーデン企業は、日本でも衣料のH&M(ホーエム)SAABVOLVOなどの自動車などが有名だが、自動車産業は全て中国資本の傘下に入り、衰退していくと嘆く。

そのあと足が痛いと言い出したNinaを考えてタクシー2台に分乗して、銀座のソニービルに向かう。8階でパソコンを操作して明日からの旅程を確認。明日箱根に着いて、小田原駅からからホテルに送ってくれるバスも電話で予約し、送迎バスの来る小田原駅西口をストリートビューで見ようとするが、近くの係員が操作してもそこのパソコンではその点は表示できない。Leifはパソコンを売ってきた人だがあまり詳しくはない。がカメラには詳しく、あとで店内を見学中、カメラが分解して展示されているところでは熱心にポイントを説明してくれる。今話題の4Kテレビのデモを見ようとするが、特別行事で今日はやっていないと言う。時間も遅くなって来たので、外に出てタクシーに彼らを乗せて、そこで別れる。

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10/20に案内したスェーデンからの2夫婦(Leif(71)Carin(70)の夫婦とHans(72)Nina70)のうち3人を、再度頼まれて10/29にガイドした。10/20報告書(10/21に報告)に書いたように、今日はHansが富山大学へ出かけていていない。彼らは10/17から東京駅直結のMetropolitan Marunouchi Hotel4泊のあと箱根・強羅のHyatt Regency Hakone2泊、京都のHyatt Regency4泊して10/27東京に戻り、今度は汐留のConrad Hilton4泊と超豪華ホテルに連泊の旅行。飛行機もビズネスクラスのようで豪華な旅。しかしこれはロンドンの投資銀行に勤める彼らの息子・娘夫婦が、両方の両親が70才を超えたお祝いとして企画し4人を招待する形で全額を負担してくれたと言う。かなり膨大な贈り物でビックリ。

汐留のConrad HiltonReception28階なのに、セキュリティが厳しく1階には関所があって用件を聞かれる。見晴らしの良い28階のロビーには約束の830前についたが既にLeifが待っている。すぐにご婦人連も現れてまず築地市場へ出発。前回にも書いたがNinaが足をねん挫していて長距離を歩けないので、Leifが気にしてタクシーにしようと言う。大江戸線でも1駅なので4人なら料金も変わらない。築地市場の奥の市場の見学は9時からということになっているが、正門に着いたのは840。でももちろん問題はない。

やや早めだったせいか冷凍マグロの裁断などもやっている。スウェーデンでは冷凍しないのか、「なぜ冷凍に?」と聞く。裁断されたマグロがガラスケースに入って売っているが、15cm四方くらいの固まりでもトロを含んだ部位は1万もするが、赤身だと4800円とあるので、トロの説明に都合がいい。赤身のクジラの肉片も随分売られている。スウェーデンでも捕獲は禁止だそうだが、私はクジラ以外には肉を食べられなかった時代に育っているので、その話をする。貝類はスウェーデンより種類が多いという。確かに英語だとclamで一まとめにしそうなアサリ、ハマグリ、平貝、シジミ、などを日本語では別の名詞で表現することを言う。置いてあるサザエの英語が分からず、調べたらTurban shellとあり、なるほどと思う。魚河岸横丁を歩いていると魚へんの漢字を並べたTシャツを売っている。説明していると興味を示し、写真を何枚も撮る。

次にお台場に行こうということになる。Ninaの足を考えて、新橋までまたタクシー。ユリカモメの先頭車両に乗る。Leifはメカに興味があり、最前列の席で写真やビデオに一生懸命。Carinが運転手がいないが、どこでどのように管理しているのか? と聞く。Ninaが長くは歩けないので人工浜辺の散策はスキップして、「台場」まで行き、そこから自由の女神までゆっくり歩く。猫カフェを見せようかと思ったが、AquaCity11時にならないと開かない。スウェーデンには「犬カフェ」というのもあるそうだ。かなり時間もあるので、海の見えるスターバックスでコーヒー休憩にする。皇室の話で皇位男子継承の問題で日本に議論があるというと、スウェーデンでも今まで事実上男子継承だったのが、今度300年ぶりに女王が誕生することになりそうだと言う。再び外は雨。前回の10/20もひどい雨にたたられたが、どうも彼らのガイドのときには雨になるので、私は自称Rain Manと言うことに開き直って、Rain ManとしてのせめてものサービスでVenus Fortへ「青空」を見に出かける。と同時にLeifの興味の対象、クラシック・カーも見ようというわけだ。

「青海」へ。トヨタのMegaWeb11/2の再開に向けて最後の工事が進行中。これまで1階にあった運転席のシミュレーターが2階に移動して、それを世話する係員の事前研修が柵の向こうに見える。Leifが先にあるFerris Wheelの写真を撮って、皆でVenus Fortへ。1時間で1日分の変化を再現する青天井を見ながら、「トレビの泉?」へ。まだ11時半だが、今朝が早かったというので、ランチ。早いのでガラガラのレストランで、思い思いに刺身丼や野菜うどんなどを楽しむ。

食後、3階のアウトレットに行くが、多くの店で、12,000円が8,000円になるとかのレベルで、値段の付け方がいい加減に見えて、決して安そうには思えない。客もまばらだし、彼らも何も買わない。クラシック・カーのHistory Garageは彼らの興味を引く。女性軍も面白がる。VolvoSaabのスウェーデンでも、かつてはFord Mustangなどが人気だったとか。マリリンモンローの白黒映画が流れる暗がりで、側面にドアがなく前面1枚ドアのバブルカーBMW Isetta300、オートバイ・エンジンをつけた3輪カー、メッサーシュミットKR200などにLeifは夢中になってシャッターを切りビデオを回す。

外に出るとまだかなりの雨。しかし日本科学未来館に行こうと青海の駅へ。ところが駅で係員に聞いてみると「未来館」は火曜が休館だという。月曜休館だと思って調べなかったが、うっかりしていた。Ninaの怪我の足もかなり疲れたようにも見えて「雨男」と動くのも大変だろうという気もして、この辺で切り上げては...と言ってみたら、そうしようということになり、そのまま汐留までユリカモメで移動し駅で別れを惜しんだ。

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