●沖縄日記2012へ ●沖縄再訪2013年1月 ●北部の自然2013
ネットで「格安航空券」を検索したリストにはどういうわけか出てこない。だから「格安」という日本語で検索できない外国人が発見して教えてくれた。「早割」などというやっかいなものでもない。出発一週間前でも予約できた。この会社の国内線は燃料サーチャージもないし、空港使用料も別に取られることもない。しかし不思議なことに実際に乗ってみたらガラガラだった。だが、時々ネットで英語が出てきたり、気をつけなければいけない厳しい部分もあることを承知の上で利用する必要があるようだ。以下すでに利用されている方も多いだろうと思いながら、一応実際に夫婦で利用してみた様子をまとめてみた。
更にその後オーストラリアのLCC、JetStarから1,980円で行ける便があることが分かり、2013年1月17日から6日間再訪してみた。真冬なのに春のような沖縄の気候への避寒旅行がこの値段で出来るのは驚きだったが、やはりエアバス社のA320型機で快適な旅だった。その件はこのあと3ページ目に報告した。
日暮里から新しいスカイライナーに乗った。3980円の飛行機に乗るのに36分で2400円はちょっと高いが、これだと羽田に行く時間とほぼ同じ時間で成田空港に着く。京成本線の車窓では下町の密集地帯が長く続くが、新線では軌道が分かれる高砂を過ぎると直ぐに緑と広い空間が現れ、とても爽快で快適。ちょっとした新幹線気分だが、やはり高架になった線路の両側に騒音防止の壁が続いていて視界を制限する。ただ新幹線のものより低いのでまだ何とか見晴らしがきくのが救いだ。電源も各座席に付いていてパソコンなども自由に使えるが無線LAN(WiFi)はない。いつの間にか新勝寺の成田に着いて、見慣れた風景に戻ったと思ったら在来線の軌道を走っていた。
成田空港に着いてもいつものように3階の出国ロビーへ行くわけではない。1階の一番ハズレの突き当たりにそれらしいテーブルがある。そして簡単なタイムテーブルと自動チェックイン機が並ぶ。カウンターでチェックインを頼むと1人1000円の手数料をとられるので、自宅で印刷してきた搭乗券を見せてスタンプをもらう。スマホでチェックインしたQRコードをピッとかざすこともできる。荷物を預ける人は15キロまで2000円などという追加料金を払ってチェックインをする。機内持ち込みのバッグなどは1人56cm×36cm×23cm 以内で7kg以下のもの1個とノートパソコン入りバッグか女性用ハンドバッグ1つだけと決められている。私たちはもともと軽装備で動くことにしているので、機内荷物だけで十分。食物や飲料の持ち込みも禁止されているが、実際は飲料入りのペットボトルも多少の食料もフリーパスだったし、荷物の大きさを測るわけでもなく、重量を検査するわけでもない。要するに客席頭上のラックに納まる大きさかどうかを見て判断しているだけのようだ。飛行機へのバス乗り場へ通じるベニヤ張りの通路を更に進む。その先に、壁に沿って椅子を並べただけの待合室があり、J〜Mの4つの搭乗口が作られている。待合室も天井板は貼ってないし、アスベストのような繊維材が吹き付けられている鉄骨が張り巡らされている殺風景な空間。一瞬工事現場の飯場を連想させる。倹約の必要性からというより、ローコスト便はすべてローコストらしく環境を整えて、「お前は安い飛行機に乗るのだから他とは違うんだぞ。覚悟しろ」と懸命に「教育」しようとする儀式のようで、「まあよくやってくれるわい」...と思う。「倉庫」の片隅には一応小さな売店があり、アイフォンの充電器などを売っている。アナウンスがあると、搭乗口で自作の搭乗券の半分を搭乗者名簿用に切り離してカゴにいれ、バスが駐機場を通り抜けて遥かかなたにとまっている赤いエアバスに横付けする。機内から顔を出したスチュワデスの合図で、各自荷物を持ってタラップの階段を登って機内へ。飛行機が動き出しても、滑走路までの距離と待ち時間はかなり長く、30分くらいかかって飛び立ったように思う。「格安」は離陸も後回しなのかとひがみたくなる。
沖縄空港などはもっと徹底していて、空港本館にはカウンターやチェックインの設備は一切ない。空港1階の出口外のバス停4番に「エアアジア・シャトルバス」の文字があるだけ。そこに来た乗客は400mくらい離れた同じ空港の敷地内のハズレへ運ばれる。そこは基地の入口のように門衛や監視員がいてチェックが厳しくシャトルバスで来る以外に入ることはできない。輸出入の貨物や密輸などを検査する税関でもあるので、外部からの観光客が変なものを持ち込んでは困るということだろう。内部は日航と全日空の貨物基地でもあり倉庫が並ぶ。そのうちの1つの倉庫を借り上げて、トイレなどを付けて椅子をたくさん持ち込み、飛行機の乗降客を「処理」する場に作り変えている。中央を臨時の壁で仕切り、荷物のX線検査機を配置して、時間になると荷物を検査して搭乗口のある方の半分に乗客を送り込む。ここでは飛行機が倉庫の近くまで来れるので、連絡バスはないが、地上からタラップを上がるのは同じ。倉庫内の非常口として作られたドアが搭乗口にとしてそのまま転用されている。もちろん大掛かりな荷物の回転式ベルト・コンベアなどもなく、到着の際も、荷車で運ばれてきた荷物がコンクリートの上にボンと置かれるだけだ。
Air Asiaの日本国内線はAir Asia Japanという別会社になっていて、全日空が株の51%を握り経営権を持つが、運営はAir Asiaに任せていて、成田--沖縄、成田と福岡、札幌の3ルートだけを3機の新しいエアバス320-20という中型機でそれぞれ1日2往復している。各ルート1機のピストン輸送なので、沖縄行きが成田を出るのは早朝6:05か午後の15:40しかない。しかしNow everyone can fly.という文言を機体にも大きく書き込んで飛行機を大衆化したことを誇らしげにうたう。そしてネットを最大限に利用して人手を省き、コストを抑える方式。だから一旦予約するとキャンセルや変更は多額の料金がかかる形にして、事実上一切できないようになっている。またページがときどき英語になったりするせいか、不安がる人もいるようで、間際でも結構空席がある。早割りなどというやっかいな制度もなく、料金も日によって違うので、計画に融通が利く場合は安い日を選べばいいが、こちらの予定を優先すると、もっと高い料金になる。実際3,980円というのはあまりなく、大抵は6,680円などと言うのが多い。上に述べたように国内便なので燃料サーチャージも0円で、豪華な空港施設を使用しないせいか、空港使用税などというものもかからない。そしてネットで「格安航空券」で検索しても、エアアジアがリストに出てこないのは、多分検索サイトが航空会社からお金を取ってリストに載せているのに応じていないためだろう。「超格安」はいわゆる「格安」業者には邪魔な存在で、目の敵にされているようでもある。すべて自己責任の形に見えるが、一応前日にはメイルが届いて、肝心なポイントは再確認される仕組みにはなっている。
Air Asia Japanはまだ発足一年で、新しい機体を購入したようだが、本来6列の座席配列で最大でも166席くらいの仕様に作られているのを186席にして使っている。エコノミー席に慣れている私には特に狭いとは感じない。座った状態で膝の先から前の席までまだ7〜8cmほどの余裕がある。だが、足の長い外国人には座るのに足がうまくスペースに納まらず、カマキリが狭い穴で足を曲げて動けなくなったような姿が見られた。そういうカマキリ族のためには、1200円の追加料金で、前の席との間隔が少し広めのホットシートという赤いカバーで覆われた席が用意されているがほとんど空席。ネットで予約するとき、座席画面を見てシートを予約もできるが、これも1席300円の予約料がかかる。席を予約しないと当日機械的に決められて、夫婦や恋人同士の旅行でもバラバラの席に割り当てられる。面倒なので私は一応席も予約したが、我々の便では往復ともガラガラで70人程度の乗客しか乗っていなかったので、飛行機が離陸してシートベルト着用のサインが消えると、多くの人が一斉にそれぞれの仲間と共に空いた席へ合流していた。近距離でもあり、機内もテレビやイヤフォンなどは一切なく、飲み物もすべて有料。水もペットボトルを買う。コーヒーもインスタントで、紅茶、日本茶も250円。機内食、スモークト・サモンやチーズ、レッドオニオンのバーガースタイル・サンドイッチ(スープ付き800円)を食べてみた。まずくはないが、特に安くはない。途中機長からの挨拶はあるが、今どこを飛んでいるのかは知らされず、窓からの景色で想像するだけだ。真ん中の通路も食料などを積んだカートが通れるだけの巾しかないので、すれ違っても脇を通り抜けることは全く不可能。ただトイレのところではスチュワデスが扉を開けてくれたり、とても親切。沖縄へ向かうときは偏西風などの影響か3時間10分もかかったが、帰りは2時間10分。天候も良かったせいか、雪をかぶった富士山もアルプスを背景にくっきりと見事で、飛行中揺れもほとんどなく快適だった。
<次ページへ>
|